アメリカ合衆国による未臨界核実験に反対する会長声明

さる7月2日(日本時間では3日)アメリカ合衆国はネバダ州の核実験場で未臨界核実験を実施した。未臨界核実験とは核兵器用プルトニウムを実際に装着して高性能火薬を爆発させ、核爆発を起こす直前の状態を再現するものである。この実験は高性能火薬によって生じた衝撃波と高温高圧状態を使って、古くなった核兵器用プルトニウムの反応を観察しその劣化状態を確かめるもので、コンピューターを利用したシミュレーションと合わせて、核戦力を維持するための重要な手段であるとされている。


包括的核実験禁止条約(CTBT)を推進してきたアメリカ合衆国政府が、CTBTの対象外などという論拠で、プルトニウムを実際に装着した装置を爆発させ、核戦力の維持、質的改善を図ることは、核軍備の縮小、除去、質的改善の抑制を志向しているCTBTの趣旨や核兵器廃絶に向けた国際世論に真っ向から挑戦するものであって、到底許されない。当連合会は第1回総会の際の「平和宣言」をはじめとして総会及び人権擁護大会において、平和と人権の擁護、核兵器の廃絶にむけての宣言・決議をかさねてきた。当連合会はこうした宣言・決議をふまえ、中国、フランスの核実験の実施についても、その都度、中国政府、フランス政府に強く抗議してきた。当連合会はアメリカ合衆国政府に対しても、被爆国の法律家として、核廃絶を願う地球市民の一員として今回の未臨界核実験の実施に強く抗議し、同国が9月以降に予定している同種実験をとりやめるよう求めるものである。加えて、当連合会は日本政府に対しても、アメリカ合衆国に対して、未臨界核実験の実施に強く抗議し、9月以降にも予定されている二回目以降の実験の中止を求めるよう、強く要望する。


1997年(平成9年)7月29日


日本弁護士連合会
会長 鬼追明夫