女性差別撤廃条約選択議定書の採択を支持する日弁連会長声明

我々日本弁護士連合会(日弁連)は、その代表団のIBAの50周年総会への出席ならびに国連女性の地位委員会事務局への訪問を機に、あらゆる形態の女性差別撤廃条約の選択議定書草案作業部会を含む同委員会第41回会期の成果を歓迎し、可能な限り早期の段階での同選択議定書の採択を強くのぞむものである。


当連合会は、1995年の「第4回世界女性会議(北京会議)のための日本政府報告に関する日本弁護士連合会の報告」において、「とりわけ、女性に対する差別については、女子差別撤廃条約が批准されていても、国内法による救済が十分でない場合や、法の建前上は平等であるが、事実としての差別が現存する」ことに留意し、1993年のウィーンの世界人権会議において、女性の人権の実施を強化する新たな手続の必要性が認められていたことを想起させ、「選択議定書を採択して、個人通報制度を認め、女子差別撤廃条約の実施を国際的に保障する必要がある」と結論づけている。


この第4回世界女性会議で採択された行動綱領においては、参加政府が、「可能な限り早く申立手続に効力を持たせる、あらゆる形態の女性差別の撤廃に関する条約の選択議定書草案を、精緻化させるという観点で女性の地位に関する委員会によってはじめられた手続を、同選択議定書に関する事務総長の報告をその実行可能性に関する見解も含めて考慮しながら、支持すべき」ことがうたわれた。当連合会は、第4回世界女性会議の成果を踏まえ、その後の女性の権利のための諸活動を通じて、選択議定書採択の重要性をあらためて確信してきた。


以上の次第で、当連合会は、女性の地位委員会第41回会期において参加政府の大多数が選択議定書と引き続く諸手続に賛同したこと、そして作業部会が来年、世界人権宣言50周年という記念すべき年に、その作業を完了する予定であることを高く評価する。他方で当連合会は、日本政府に対し、女性の地位に関する委員会の一員として、選択議定書の早期採択のために指導的役割を果たすとともに、選択議定書採択の重要性を広く国民に啓発するように求める。そして、当連合会も、選択議定書の早期採択に向けてできうる限りの努力をする所存である。


1997年(平成9年)6月13日


日本弁護士連合会
会長 鬼追明夫