PL法の国会成立に関する談話
本日、第129通常国会において、製造物責任法の成立をみた。今日のわが国がかかえる消費者重視への政策転換の第一歩として歓迎し、本法の成立にむけてこれまで長い間運動を続けてこられた消費者団体をはじめ、政党、各行政省庁等関係各位の努力に敬意を表するものである。
当連合会は、わが国における欠陥製品被害と救済の実態調査および欧米等の実情調査を踏まえて、1991年3月、真に被害の予防および迅速かつ公正な救済に資する製造物責任法の要綱試案を提言し、関係各方面にその実現を働きかけてきた。
本日成立した製造物責任法は、欧米諸国における法的救済の実態に照してみるとき、被害者の立証負担の軽減・証拠開示を取り入れなかったことなど、なおいくつかの不十分な点を有するものではあるが、欠陥製品による被害の防止と救済のために、責任要件を製造業者の過失から製品の欠陥に転換したことの意義は大きい。また、責任主体、損害の範囲、責任期間に長期の例外規定をもうけるなど、いわゆるEC指令を超えて被害救済の実務に効果を期待できる規定も含んでいる。さらに、最後まで議論が続いた血液製剤についても同法の適用対象製造物とされたことは、これまで救済が極めて困難な状態にあった輸血感染被害者の救済とかかる被害の未然防止に道を開くものである。
また、被害者の立証負担の軽減を図るため、国・地方自治体及び民間の検査機関等の整備による原因究明機能の充実強化及び情報公開に努めることが附帯決議された。これらの実現は急務である。
なお、産業界においても既に本法を受入れる旨表明されているが、今後とも被害の未然防止と迅速公正な救済に取組まれることを期待するものである。
1994年(平成6年)6月22日
日本弁護士連合会
会長 土屋公献