世界人権会議の宣言の草案中「両性の平等並びに女性の人権」の第3項最終文について

日本弁護士連合会は、25年ぶりに開かれた国連の世界人権会議を重視し、会長以下代表団11名がこの会議並びにNGOフォーラムに参加した。


ところで、NGOフォーラムの女性の権利に関する分科会における韓国NGO(韓国挺身隊問題対策協議会)の代表の発言から、見過ごすことのできない次の事実が判明した。


すなわち、世界人権会議の宣言の草案中(第三部(Part III)第Ⅱ章(Section II)C)、「両性の平等並びに女性の人権」の第3項最終文が、「女性に対する暴力、とりわけ殺人、組織的な強姦、性的奴隷、強制された妊娠が特別に効果的な対策を要求している」としている部分の冒頭に「現在の」とする重大な限定が付されていることが判明した。


この条項が「現在の」という限定を付したまま採択されれば、旧日本軍によるいわゆる「従軍慰安婦」などの、「過去に」発生した人道に対する罪となり得る女性に対する人権侵害問題についての国連の審議・取り組みにあらかじめ致命的な制約を課す結果になることを憂慮せざるを得ない。


当連合会は、日本政府を含む各国政府が、この条項における「現在の」とする表現を削除することを望むものである。


1993年(平成5年)6月14日 ウイーンにて


日本弁護士連合会
会長 阿部三郎