法制審議会民法部会財産法小委員会報告に関する会長談話

製造物責任に関する法務省法制審議会民法部会財産法小委員会は、「製造物責任制度について」と題する報告書を発表した。同報告書は推定規定の導入を否定し、開発危険の抗弁を認めた点などに問題があるが、欠陥責任の原則の導入を明確にし、欠陥判断のための考慮事情を法律上明記しないこと、損害賠償の範囲と責任期間につき、「民法の不法行為の原則による」として、製造物自体の損害をPL法の対象から除外し、期間の制限につき製品を流通に置いた時から10年とする産業構造審議会および国民生活審議会報告の考え方を否定した点は、一応評価できる。


今後とも、当連合会がかねてから要求している推定規定の導入、開発危険の抗弁の否定、情報開示の規定の導入等を含めて立法化作業が進められるよう関係方面に強く要望するとともに、当連合会の活動を強化して行く。


1993年(平成5年)12月10日


日本弁護士連合会
会長 阿部三郎