大嘗祭と即位の礼について

来る11月に挙行される「大嘗祭」と「即位の礼」について、日本弁護士連合会会長として、次のとおり所信を表明する。


現行憲法は、国民主権を基本原則とし、象徴天皇制と政教分離の原則を採用している。これは、大日本帝国憲法下の天皇主権、神格天皇の原理とは、基本的に異なることを意味している。


まず「大嘗祭」は、極めて宗教性の強い儀式であるので、国が関与し宮廷費を支出することは、その目的及び効果から見ても、現行憲法の政教分離の原則に抵触するものと言わざるを得ない。


そこで「大嘗祭」に国が関与し、宮廷費を支出することがないよう、政府に強く要望する。


また、「即位の礼」は、既に廃止された大日本帝国憲法下の「登極令」を踏襲することなく、国民主権、政教分離の原則に基づき、象徴天皇制にふさわしい儀式として挙行するよう期待する。


1990年(平成2年)10月24日


日本弁護士連合会
会長 中坊公平