裁判傍聴メモ採取不許可国家賠償請求事件判決について
- 本日、最高裁判所が、ローレンス・レペタ氏の傍聴メモ採取不許可国家賠償請求事件において、国家賠償法の解釈によって上告を棄却したものの「傍聴人が法廷でメモをとる権利」を憲法上の権利として認め、合理的理由のない限り、これを規制できないと判断したことは、高く評価されるべきである。
- 当連合会は、すでにレペタ氏からの傍聴メモ不許可に関する人権救済申立事件につき、昭和62年7月29日法廷傍聴メモ規制に関する意見書を最高裁判所に対し提出した。
右意見書は、- 傍聴人が法廷内においてメモをとることは憲法上保障された権利であり、原則的に自由と解すべきものであるから、裁判所においては、傍聴人のメモを一般的に許さないという現在の取扱いを改め、合理的理由のない限りこれを規制しないという取扱いをすべきである。
- 現在東京地方裁判所ほか多数の裁判所の法廷入口に掲示してある「許可を受けないでメモをとらないこと」との記載を含む注意書は、傍聴人のメモの自由を予め制限し、また、個々の裁判所のメモの許否についての権限を包括的に司法行政措置によって制限するものといわなければならないから、すみやかに撤去されるべきである。
- 本日の最高裁判所の判断は、右意見書にも十分応え、傍聴人のメモの自由を正面から認めたものである。
当連合会としては、裁判所を国民に対しより開かれたものにするため、今後とも、裁判所に具体的提言をしていく考えである。
1989年(平成元年)3月8日
日本弁護士連合会
会長 藤井英男