牟礼事件第8次再審請求棄却にあたり

昭和63年4月30日、東京地方裁判所は、佐藤誠氏の第8次再審請求を棄却する決定をし、同決定を同年5月2日請求人及び弁護人に告知した。


佐藤氏に対する確定判決は、共犯者と自称する者の「自白」を最有力の証拠として、死刑を言渡したものである。


佐藤氏及び弁護人らは、この自称共犯者の「自白」が客観的事実に合致せず信用できないとして今回の再審請求に及んだ。しかし、裁判所は形式的調べに終始し、弁護人らの求めた証拠開示・事実調べ等の請求に応じることなく、棄却の決定をした。この裁判所の対応は、誤判を正すという再審手続き本来の精神を没却したもので、誠に遺憾である。


当連合会は、昭和53年6月以来、佐藤氏の再審活動を支援してきた。我々は、今後とも、冤罪者の救済と誤判の根絶を目指し、力を尽していくものである。


1988年(昭和63年)5月9日


日本弁護士連合会
会長 藤井英男