拘禁二法案の国会提出にあたって

政府は、本日いわゆる拘禁二法案(刑事施設法案・留置施設法案)を今国会に提出した。


右両法案は、昭和57年4月に国会に提出された際、各界からの強い批判を受け、昭和58年11月にいずれも廃案となったものであって、その後、日弁連、法務省、警察庁との意見交換などの結果、この度、一定の修正をほどこし、再度提出されることとなったものである。しかしながら、今回提出された両法案を見ると、自白の強要と冤罪の温床となる代用監獄の恒久化の問題は依然として残されており、弁護人と被拘禁者との接見交通、被拘禁者の処遇上の人権保障の問題も不充分なままとなっている。


したがって、日弁連としては、これら修正の点については、一定の評価をしつつも、なお右の諸点についての論議は、尽くされていないし、両省庁の一方的な意見交換会の終了には反対の意思を表明してきた。


右の理由により、日弁連としては、なお代用監獄の廃止問題等の未解決のままにおける現法案には反対せざるをえず、今後、国会及び政府におかれては日弁連の提起してきた両法案に対する批判に充分耳をかたむけ、より良き行刑法の実現に尽力されたく、日弁連としてもなお全力を傾注する所存である。


1987年(昭和62年)4月30日


日本弁護士連合会
会長 北山六郎