那須隆氏国賠請求棄却判決言渡しにあたって

仙台高等裁判所第一民事部は、本日那須隆氏らの国家賠償請求について、一審勝訴の判決を取り消し、那須氏らの請求を棄却する判決を言渡した。


右判決は、この事件について、那須氏が無実であることを国も一審判決も認めているにも拘らず、証拠を偽造した捜査機関の責任を問うことなく、刑事補償法に基づく補償のみにとどめようとするもので、冤罪の構造を明らかにする努力を放棄し、ひいては国の責任に免罪符を与えるに等しく、到底容認できないものであり、甚だ遺憾である。


日弁連としては、引き続き冤罪を生まない刑事裁判制度の確立と合せて冤罪者に対する充分な補償制度を作るため、引き続き努力していくことを決意するものである。


1986年(昭和61年)11月28日


日本弁護士連合会
会長 北山六郎