梅田事件再審無罪判決言渡しについて
いわゆる梅田事件について、本日再審による無罪の判決が言渡された。
免田、財田川、松山の死刑三事件や徳島ラジオ商事件などの再審による無罪事件に加えて、ここにさらに1件、わが国の刑事裁判が誤判を犯していたことが明らかになったのである。
昭和27年10月2日に梅田氏が逮捕されて以来、実に34年の長い間にわたって無実を訴え続けてきたことを思うと、梅田氏が誤った裁判によって受けてきた犠牲はあまりにも深刻、かつ重大である。ここに真実をあくまで明らかにしようとしてきた同氏の不屈の精神力と、同氏に協力してきた梅田事件弁護団の長い間の努力、そして無実を信じてこれを支えてきたご家族と支援者の方々に対し、深甚の敬意を表し、心から梅田さんの雪冤をお祝いしたい。
人権の擁護を使命とする弁護士の全国的組織である日弁連としては、正義を顕現すべき裁判が誤ることによって犯されるこのように深刻な人権侵害については、これを事前に防ぐことが何よりも大事であることの認識を新たにし、誤判原因の究明と誤判の根絶のため、一層力を盡したい。
検察官は、この判決に対し控訴をすることなく、無罪の確定に協力されるよう望むとともに、われわれは今後とも、誤判の防止と冤罪者の救済のため全力を盡すことを誓うものである。
1986年(昭和61年)8月27日
日本弁護士連合会
会長 北山六郎