梅田事件検察官即時抗告棄却決定について
本日、札幌高等裁判所は梅田義光氏に対する再審の開始決定に異議を唱えた検察官の即時抗告を棄却する決定を下した。
梅田氏は、32年前虚偽の証拠により強盗殺人事件の共犯者とされ、無期懲役の判決によって長きにわたり自由と名誉を奪われてきた。この誤った裁判への再審請求に対し、釧路地方裁判所網走支部は、昭和57年12月20日に再審開始の決定を下した。
これに対し、検察官は建前のみにとらわれて、不当にも即時抗告を申立て、2年もの歳月が空費されたが、本日の決定によって再審無罪への途は再び大きく開かれた。
人権擁護委員会の中に弁護団を結成し、「無辜の救済」に取組んできた日本弁護士連合会としては、本日の決定により冤罪者の救済が大きく前進した意義を高く評価するとともに、梅田氏、ご家族並びに梅田氏の無実を信じて長い間支援を続けてこられた全国の多くの方々に深く感謝するものである。
ところで、梅田氏の無実を信じ、再審開始を最も待ち望んでいた梅田氏の母なかさんは、去る1月10日逝去され、本日の決定を手にすることができなくなった。検察官の即時抗告による時間の経過を思うとき、誠に残念と言わざるを得ない。
最後に、検察官は本日の決定を謙虚に受けとめ、建前にとらわれて特別抗告をすることなく、速やかに再審公判に臨まれるよう強く要望すると同時に、今後の再審公判で梅田氏の無実が1日も早く確定するよう、日本弁護士連合会は、今後もさらに努力を尽す所存である。
1985年(昭和60年)2月4日
日本弁護士連合会
会長 石井成一