サラ金二法の成立に寄せて

本日国会でいわゆるサラ金二法が成立した。


この法律は、最近とみに激しさを増したサラ金による消費者被害の根絶を期すべきところ、業者の利益保護に片寄り、高金利を容認し、過剰融資と苛酷な取立てに対する規制が不十分なものである。特に、当連合会の長年の経験と研究を踏まえた提言に耳を藉さず、貸金業法第43条を設けて、破滅に瀕した被害者救済の有力な手段であった利息制限法に関する最高裁判所判例の排除をはかったことは、全国の弁護士がひとしく遺憾とするところである。


われわれは、サラ金被害が一段と深刻の度を加える事態に備え、法律の解釈運用に工夫をこらし、被害の救済と社会正義の実現のため、一層の努力を傾注することを表明するとともに、各界に対し次のことを強く要望する。


  1. 国会は、40パーセントへの金利引下げを確実に実行し、今後発生する諸状況に対応して法律の不備を適切に是正されたい。
  2. 監督官庁は、被害の実態把握につとめ、広汎な社会悪を根絶すべき使命感のもとに、法令を十分に活用して、業者に対する指導監督に当られたい。
  3. 警察は、犯罪となるべき業者の不当な取立行為を積極的に摘発されたい。
  4. 銀行その他の金融機関は、業者への融資を自粛し、自ら庶民金融に応ずる態勢をととのえられたい。

1983年(昭和58年)4月28日


日本弁護士連合会
会長 山本忠義