千葉県柏市少女刺殺事件について

このたび、最高裁判所は、千葉県柏市の少女刺殺事件について、現行少年法において、従来実務上行われてきた非行事実の不存在を理由とする保護処分取消の申立を運用上ほぼ確立したものとして容認し、かつ、新たに右申立につき保護処分を取消さないとの決定がされた場合、これに対しても抗告ができる旨の決定をした。


これにより、少年の保護処分に関しても、いわゆる「再審」が、抗告をも含めて、現行法上できることが、最高裁判所によって確認され、無実の少年を救済する途が一層大きく開かれた。


少年の人権保障のうえで、今回の決定のもつ意義は大きく、高く評価するものである。


日本弁護士連合会としては、今後の少年法の運用により、非行事実が存在しないにもかかわらず、誤って保護処分に付された少年の救済に遺憾のないよう期待するとともに、そもそも、そのような「誤判」を生むことのないよう捜査機関が少年事件の取扱いにあたり慎重な配慮をなし、さらに、家庭裁判所を少年法の理念にそって一層充実させることを望むものである。


また、今回の決定に至る経過のなかで、付添人の役割の重要性が改めて浮き彫りにされた。私達としては、今後、付添人活動の強化に努め少年の人権保障を全うするために力を尽していきたい。


1983年(昭和58年)9月9日


日本弁護士連合会
会長 山本忠義