刑務所不祥事に関して
福岡・府中・横浜などの刑務所で、銃器の製造・覚せい剤など不正品の持ち込み持ち出し・暴力事件など、不祥事の報道が相ついでいる。
今回の一連の不祥事は、すべて暴力団関係者によるものであって、これらは行刑当局の取り組み如何によって解消できる性質の問題である。
このような不祥事への対策としては、刑務作業に民間作業員の関与を容易にする民需方式を官需中心に改めるとか、暴力団員の多い施設に刑務官を増員して重点配置するなどの方策を講じ、また、刑務官及びその家族の保護を期することが必要であると考える。
現在拘禁二法案が国会に上程され、刑務所などの刑事施設収容者らに対する管理強化が図られようとしているが、今回のような不祥事は、単に管理強化によって解決できる問題ではなく、これら一連の事件を口実に、拘禁二法案が正当化されることがあってはならない。
1982年(昭和57年)10月4日
日本弁護士連合会
会長 山本忠義