拘禁二法案継続審議にあたって

今国会に上程された刑事施設法案、留置施設法案のいわゆる拘禁二法案は、本日「継続審議」となった。


われわれは、国民の人権を擁護する見地から、留置施設法案については廃案を、刑事施設法案については抜本的に改められない以上廃案とすることを求めて、全国弁護士の総力をあげて反対運動をすすめてきたが、このたび右拘禁二法案が「継続審議」にとどまったことは、まことに遺憾である。


しかしながら、今後ひきつづき両法案について慎重審議を重ねる道がのこされたことは、各方面のご理解とご協力の賜であり、われわれの反対運動の一定の成果であると考える。


われわれは、今後とも、当初の方針のとおり、代用監獄の恒久化とこれによる一層の自白強要・誤判の発生の危険、弁護人の接見交通権の侵害など、国民の人権に深くかかわる問題をもつ留置施設法案について廃案を求めていく。


また、留置施設法案と同じ人権侵害の危険をもつとともに、受刑者処遇の面においても法制審議会の「改正要綱」からはるかに後退し、国際水準にも遠く及ばない刑事施設法案について、抜本的改正を求め、これが実現されない限り廃案を求めていく。


われわれは、これらの目的達成のため、ひきつづき全力をあげて活動する決意をここに改めて表明し、あわせて各方面の今後の一層のご理解とご協力を要請するものである。


1982年(昭和57年)8月20日


日本弁護士連合会
会長 山本忠義