梅田事件再審請求棄却判決について
広島高等裁判所は、12月25日、後房市氏の再審請求を棄却した。
本件は、物証も自白もなく、あやふやな供述をもとに後氏を無期懲役に処したものである。
原審では、犯行日とされる日の翌日被害者を目撃した者の新証言、凶器は確定判決がいうガンヅメ類とはまったく異質な鈍器であるとする科学的鑑定が提出され、当審ではさらに、この凶器を発見した新証人も取調べられた。
かかる新証拠とぜい弱な旧証拠に照らすと、有罪の確定判決は到底維持できず、再審が開始されなければならなかった。
しかるに、異議申立に対する今回の決定は、原審広島高裁松江支部の誤りを再びくり返し、確定判決を無批判に擁護した。このような不当な決定は、再審制度の理念と再審判例の流れに逆行するものである。
日本弁護士連合会は、引続き後氏の雪冤と釈放を求めて、一層力を尽すものである。
1982年(昭和57年)12月25日
日本弁護士連合会
会長 山本忠義