梅田事件再審開始決定に対する検察官の即時抗告の申立について
梅田事件に関する再審開始決定に対し、検察官が即時抗告の申立をしたことは、まことに遺憾である。
本件再審開始決定は、数々の新証拠について、検察官の意見も十分にきいた上で、慎重な審理を遂げた結果、これら「新証拠が確定判決の審理中に提出されていたならば、梅田を有罪とすることはあり得なかったものと思料される」として、無実を明らかにすべき審理への扉を開いたものである。
検察官に望まれるのは、公益の代表者として、この再審開始決定を謙虚に受けとめ、再審開始後の審理において公正に立証活動を尽すことであり、今回の即時抗告は、却って検察の威信を損うものと言わざるを得ない。
日本弁護士連合会は、検察官が国民世論に謙虚に耳を傾け、真実の発見と審理の促進に協力されるよう強く要望するものである。
1982年(昭和57年)12月23日
日本弁護士連合会
会長 山本忠義