「パネルディスカッション 刑法『改正』を考える」の中止にあたって

本日、我々は日本弁護士連合会、中部弁護士会連合会、同各単位会共催による「パネルディスカッション刑法『改正』を考える」を名古屋市内において開催した。


これまで日弁連は刑法全面「改正」に反対し、そのために広く国民とともに阻止運動を続けてきた。今日この問題にとってもっとも重要なことは広汎な国民的論議を深め「改正」の危険な内容を明らかにしてゆくことであり、そのために我々はこの公開討論会を企画したのである。


ところが、開会直後から一部の妨害者集団がパネルディスカッション粉砕をさけび、これを制止しようとした主催者をはじめ一般参加者及び弁護士に対し暴行を加え、演壇を実力で占拠し、ほしいままに暴力行為の限りを尽した。これはパネラー及び参加者の安全を保障しがたい重大な状況であり、このため主催者として中止の決定をおこなうのやむなきに至ったものである。


このような暴力は刑法全面「改正」阻止の運動に対する許しがたい妨害であり、かえって全面「改正」を促進する重大な挑発行為である。


我々は率直な討議を通じて全面「改正」の内容を明らかにしようとして参集されたパネラー及び参加者の皆様に深くおわびすると同時に、このような妨害をのりこえ、今後とも広く国民とともに阻止運動を展開する決意であることをここに表明する。


1981年(昭和56年)12月5日


日本弁護士連合会
会長 宮田光秀