財田川事件検察官抗告棄却にあたり
本日、財田川事件について、検察官の抗告が棄却され、谷口繁義君の冤罪が一層明らかになった。
本件について、去る昭和54年6月6日高松地方裁判所の再審開始決定があったとき、我々は、検察官に対し、右決定に服すよう強く求めたのであったが、これを無視した即時抗告により、同君の雪冤の機会が2年近くも遅れたことは、まことに遺憾である。
さきの免田事件におけると同様、死刑の判決が誤ってなされることがあるという重大な事実の前に、我々司法関係者はあらためて夫々の立場で厳しく反省する必要のあることを痛感せざるを得ない。
この上は、関係当局は速かに同君を釈放すべきであり、また、我々は同君のために1日も早く無罪の判決を得て冤罪を雪ぐことに全力をあげると共に、我々がつとに唱えてきた再審法の改正にむけても世論の賛同を得て早期実現を期するものである。
1981年(昭和56年)3月14日
日本弁護士連合会
会長 谷川八郎