金大中事件死刑判決について

本日金大中氏に対し韓国戒厳普通軍法会議において死刑の判決が言渡された。


かねてより、談話をもって重大な関心を抱き日本政府に対し適切な措置をとるよう要望していた当連合会としては、金大中氏の裁判が世界人権宣言、国際人権規約の趣旨に反し同氏の人権保障が十分守られないまま進行し、昭和48年当時の拉致事件に関する日韓両国政府間の政治決着の目的に反し同氏の人権が完全に回復されないまま1ヶ月余の短期間の審理で極刑を受けるに至ったことは、誠に遺憾と云わざるを得ない。


われわれは、今後韓国政府当局が金大中氏の上級審の審理において手続的にも内容的にも世界人権宣言、国際人権規約の趣旨を尊重し、基本的人権をそこなわない公正な姿勢をとることを切に希望する次第である。


当連合会は、日本政府に対し金大中氏の人権の保障と救済のため外交的手段を通じ有効適切な措置をとられることを再度要望する。


1980年(昭和55年)9月17日


日本弁護士連合会
会長 谷川八郎