免田事件再審開始決定についての談話

無実をさけびつづけて30年。それは、ながい、いばらの道でした。


第3次再審で、西辻裁判長は、職権で多くの証拠を調べた上、再審開始決定をしました。この決定は陽の目を見ないで消えましたが、請求人をはじめ、関係者を大きくはげましました。日弁連は、人権委員会の総力をあげて取り組み、つぎつぎと弁護人を投入しました。


第6次再審で、福岡高裁が原決定を取消し、再審を開始する決定をしたことは高く評価されます。真実を明らかにしようとする裁判官の良心がまだ失われていないことを示しているといえます。しかし原決定が、最高裁の白鳥決定の後になされたことを見れば、えん罪者を救うには裁判官の良心にたよるだけでは十分でありません。


このことは、私たちに白鳥決定の判示を具体的な審理の上で発展定着させるためには、一日も早く再審に関する法改正を実現しなければならないことを教えています。


1979年(昭和54年)9月27日


日本弁護士連合会
会長 江尻平八郎