犯罪被害者に対する給付制度の創設についての談話

このたび「犯罪被害者に対する給付制度」が、創設されたことは大変嬉ばしいことである。


本来本制度については、当連合会においても、昭和35年度の第3回人権擁護大会において、その実現方の決議をなし、昭和51年12月には刑事被害補償法案を発表するなどして、被害救済制度の速かな実現を訴えてきたところであるが、ここに漸くにして制度創設にいたったことは、今後の被害者・遺族救済のためきわめて意義深いことであり、政府、関係省庁のご協力に対して、心から敬意を表するものである。


しかしながら、なお、制度の実施に当っては「給付の要件」「給付の内容」「給付の裁定」「適用期日」「実施時期の大幅な遅れ」などについて、問題なしとしないところがあり、とくに遡及適用をみることができなかったことは遺憾である。


従って、今後の国会における予算審議に当っては、これらの各点、とりわけ制度実施時までの被害者・遺族につき、何らかの救済措置を考慮されるよう、要望するものである。


1979年(昭和54年)12月28日


日本弁護士連合会
会長 江尻平八郎