松山事件再審開始決定についての談話

本日、仙台地方裁判所は、請求人斎藤幸夫氏の請求を容れて再審開始を決定した。


死刑確定という事実と対面しながら、長きにわたって無実を訴え続け、たたかってきた請求人本人とこれを支えてきたご家族、弁護人諸氏、支援の方々の活動にあらためて敬意を表するものである。


本年は財田川事件、免田事件、そして本件と死刑再審事件について、開始決定が相次いで出されるに至った。


これらの死刑事件は、違法・不当な捜査、誤鑑定、裁判官の自白偏重という共通の誤判原因をはらんでいたことに注目すべきである。


日弁連は、従来より「無辜を罰せず」という理念に則り、刑事裁判の在り方について鋭意検討してきた。鑑定の問題、自白獲得を目的とする代用監獄、再審制度の法改正等の諸問題が提起されている。今回の決定を機会に、全国会員が更に力を併せて改善のための諸々の活動を続けていくことを強く誓うものである。


最後に、検察官は、本日の開始決定を尊重し、即時抗告をしないよう強く望むものである。


1979年(昭和54年)12月6日


日本弁護士連合会
会長 江尻平八郎