島田事件再犯棄却決定に関する声明

3月11日静岡地方裁判所は、死刑囚赤堀政夫君の再審請求に対して棄却の決定を下した。再審請求人及び同弁護人らの主張する主眼は「請求人の自由は、任意性がなくかつ客観的事実並びに証拠と矛盾する」ということであった。


しかるに今回の決定は「原判決認定の犯行順序は、客観的事実と符合しない点があるのではないかと考える」旨認定して右自白が、重要な部分において客観的事実に反することを認めながら「右犯行順序の変更は、死刑という結論を変える必要のあることではない」としている。


右は白鳥事件において最高裁が示した「疑わしきは被告人の利益の鉄則は、再審事件においても適用されるべきである」旨の見解に、実質的に逆らう結論といわざるを得ない。


さらに裁判所は、今回の決定に際し、その約1時間前に突如として主任弁護人に決定があることを通知するという挙に出たことは極めて遺憾である。


今後東京高裁へ舞台が移ると思うが、弁護団からの要請があれば、日弁連として再審実現のための支援をおしまないものである。


1977年(昭和52年)3月11日


日本弁護士連合会
会長 柏木博