東大裁判の欠席判決に対する談話
東大裁判につき本日欠席判決をみるに至ったことはまことに遺憾であります。
被告人・弁護人不在のまま、弁護活動も全く欠除した裁判が、法律家としていかに空虚であり、国民の1人としていかに悲しむべきことかをわれわれは謙虚に再省三思すべきであります。
東大裁判以降も多数の学生公安事件が発生しているが、本日の悲しむべき事態に鑑み、二度と再び同じ過ちをくり返してはならない。それは国民に対するわれわれ法曹の責務である。裁判官、検察官及び弁護士はこの共通の認識の下に誠意と良識と寛容を以て十二分に協議し、有効適切な対策を講ずべきことをここに強く提言するものであります。
1969年(昭和44年)11月28日
日本弁護士連合会
会長 阿部 甚吉
- 註
- 昭44・12・20理事会承認