刑務所内の物品販売に関する人権救済申立事件(意見書)

法務大臣宛に意見

2008年2月27日


被収容者に対する物品販売業について財団法人矯正協会が独占的な地位を与えられており、適正価格の形成が阻害されるおそれが生じ、また、被収容者に対する販売により得られた利益が処遇にあたる刑務官に間接的ながら還元される構造となっていることが判明したため、法務大臣及び法務省矯正局長宛に意見書を提出した事例。


執行後照会に対する回答

法務大臣

<法務大臣名回答・2013年3月26日> 


1 2008年2月27日付け意見書を受けた対応について
同意見書を受け、平成20年度が刑事施設の売店業務の見直し時期に当たっていた施設において、参入に係る意思確認の状況に関する調査を実施したところ、該当施設全てにおいて公募等を行っていたものの、そのいずれにおいても参入希望はなかったとの結果であった。


こうした実情を踏まえ、協議会の場において、大臣官房参事官から矯正管区第一部長等に対し、事業者の選定に当たり、新規参入の事業者を公募するなど、事業者の指定手続の透明性を高めることに留意するよう所管施設を指導することについて連絡した。


なお現在は、主にエームサービス株式会社が、刑事施設における物品販売を行っており、財団法人矯正協会が物品販売を行っている刑事施設はないものと承知している。



2 各刑事施設における被収容者の物品購入制度の運用について
上記のとおり、現在では、PFI事業による刑事施設(美祢、島根あさひ、播磨及び喜連川の各社会復帰促進センター)、立川拘置所並びに一部の拘置支所を除く刑事施設においては、エームサービス株式会社が、被収容者が購入し、又は外部の者が被収容者に対し差し入れる衣類、食料品、日用品等の販売業務を行っている。



なお、同社が物品販売業務を実施している施設においても、地域の民間事業者を指定している場合があるほか、眼鏡等の補正器具や食料品、書籍、新聞等、同社が対応できない物品について、別の事業者を指定しているケースがいくつか見られるところ、施設ごとの指定事業者名及び事業者別の物品納入割合については承知していないが、財団法人矯正協会が指定されている施設はないものと承知している。



一方、PFI事業による刑事施設においては、PFI事業契約の一部として、事業者であるSPC(特別目的会社)により物品販売業務が実施されており、また、立川拘置所においては、平成24年4月から、民間事業者が物品販売業務を実施しているところ、いずれも公募により公正な手続に従い決定された事業者であると承知している。