第51回定期総会・警察制度の抜本的改革を求める決議

2000年(平成12年)5月26日
日本弁護士連合会


警察法は、警察が個人の権利と自由を保護し、公共の安全と秩序を維持する責務を負い、民主的理念を基調として管理・運営される旨を定めている。


市民は、全国の大多数の警察官がその責務を全うすべく日夜誠実に警察活動に従事していると信じ、かつそう願っている。


しかし現実には、神奈川県警察をはじめとして、全国各地における警察の不祥事の報道が相次ぎ、警察官個人の犯罪は勿論、警察の組織的工作を示す事例も少なくない。まさに、警察の信頼は地に墜ち、事態はきわめて深刻かつ危機的である。


これは、警察に対する民主的管理制度の欠如と警察の閉鎖的体質が永年にわたり複合的に作用して生じた、わが国の警察の根本的な弊害の表われである。


そこで、警察がその本来の責務を果たすためには、警察の管理制度と閉鎖的体質を抜本的に改めなければならない。


国会及び政府は、早急に、少なくとも以下の点について改革すべきである。


第1に、国家公安委員会及び都道府県公安委員会を抜本的に改革すること。


  1. 国家公安委員及び都道府県公安委員の選任は、公選制又は民意が反映する選任方法によることとする。
  2. 公安委員は常勤制とし、予算及び人事において警察組織とは完全に独立した事務局組織を持つものとする。
  3. 公安委員会は、警察職員に対する懲戒権及び監察権を持つものとする。
  4. 国家公安委員会は国会に対し、都道府県公安委員会は都道府県議会に対して、警察の管理及び運用について説明責任を負うものとする。

第2に、警察情報については、現に捜査中の事件の捜査上の秘密に属するものを除き、全面的な公開制度を実現すること。


第3に、警察官に対する人権教育の徹底と警察官自身の人権保障をすること。


第4に、警察におけるいわゆるキャリア・システムのあり方について、検討を加えること。


当連合会は、市民とともに、市民参加による警察から独立した監視システムの創設を含めて警察の抜本的改革のために、全力を尽くすものである。


以上のとおり決議する。