第19回定期総会・司法の民主化促進に関する決議
(第一決議)
法曹一元の理想を実現し、司法の民主化を促進することは、日本弁護士連合会の当面する重要な課題である。
われわれは、まず、わが連合会の機構をすみやかに改革して全国弁護士の総力を結集し、この目的達成に向って前進することを期する。
右決議する。
1968年(昭和43年)5月25日
第19回定期総会
提案理由(議事録より)
これにつきまして提案理由を説明いたします。立法、司法、行政の三権分立を前提といたします日本国憲法の下におきますところの司法の重要性は今更喋々と述べるまでもないことであります。この司法制度を民主化することこそ民主国家確立の根幹をなすものであると言わなければなりません。ところが今日の司法制度は国民のための司法という理想からは極めて程遠いものであるのであります。これも既に皆様がご承知の通りであります。
それでは司法制度を民主化し、これを真に国民のものとするためには、現行の裁判官任用制度を廃止しまして、多年国民の中にありまして、社会の表裏に通じ生きた社会経験と広い視野を有する弁護士から裁判官を任命する制度を実現することが、唯一の方策であると信ずるのであります。左様な見地から日弁連といたしましては、昭和28年以来機会のある毎に法曹一元制度の実現を提唱して参りました。本総会の名におきましても既に8回もの多さに亘って宣言及び決議を行っております。ところが未だに法曹一元制度の実現をみるにいたらないのは我々の極めて遺憾とするところであります。しかも司法の民主化を求める社会の声は近時ますます増大し、今や法曹一元制度は現実当面の重要課題としてその実現を推進すべき段階にあると言わなければなりません。かかる重大な時機に際しまして、我々弁護士は司法民主化の提唱者として自らの姿勢を正すと共に全会員の総力を結集して法曹一元の理想に向って邁進しなければなりません。日弁連は我が国におきますところの唯一の全弁護士の組織として創立以来今日まで精力的な活動を続け外部に対する発言力も徐々に増大してきましたが、その使命の重大さに鑑みますと、未だ十分だとは言えないと思うのであります。更に我々の活動を活発化し、社会に対する発言力を増大し、豊富な説得力によって、法曹一元制度を実現するためには、我が日弁連の組織と運営を改善してその機能を一層充実強化して行く必要のあることは言うまでもありません。就中、日弁連を名実共に全会員の総意を代表する、より民主的な組織として行くための機構改革の推進は最も重要な事項であります。既に日弁連は昭和40年に機構改革委員会を設置し、役員制度、委員会制度、調査研究機関、事務局の在り方等日弁連の組織運営に関する当面の重要諸案件を付議したのであります。機構改革委員会は既に幾つかの案件について答申をし、現になお他の重要案件について活発な研究・討議を行っているのでありますが、機構改革の重要性に鑑みまして、更にこれを推進する必要があるのであります。我々は日弁連の機構を速やかに改革し、かくして全会員の総力を結集して法曹一元の理想実現に向って飛躍的な前進を期するものであります。よって本決議の提案に及ぶのであります。何卒満場一致のご賛同をたまわらんことをお願いする次第であります。