独占禁止法の改正に伴う依頼者と弁護士の通信秘密保護制度に関する会長声明

 

arrow_blue_2.gif英語版(English)



新たな課徴金減免制度等を導入する改正独占禁止法が本日成立した。
 

公正取引委員会は、改正法の閣議決定に先立つ2019年3月12日、依頼者・弁護士間通信秘密保護制度に関して、「別紙2・事業者と弁護士との間で秘密に行われた通信の取扱いについて」と題する文書を公表した。同文書によれば、改正独占禁止法の施行と併せて「不当な取引制限(独占禁止法第3条後段)に関する法的意見について事業者と弁護士との間で秘密に行われた通信の内容を記載した文書について、所定の手続により一定の条件を満たすものであると確認された場合、審査官がその文書にアクセスしないこと等を内容とする手続」(以下「本制度」という。)を、独占禁止法第76条第1項に基づく規則で主な項目を規定して導入することとされている。


本制度は、当連合会が主張してきた依頼者と弁護士間の通信秘密保護制度を不当な取引制限にかかる行政調査手続について認めるものであり、一歩前進と評価できる。今後本制度を規則で規定し、さらに細目を指針で規定するに際し、依頼者である事業者と弁護士の間の「相談に係る法的意見等についての秘密を実質的に保護し、適正手続を確保する」という本制度の趣旨を踏まえ、かつ依頼者の弁護士への相談及び弁護士の助言が実務的に支障なくなされるものとすることを求める。


かかる趣旨を踏まえて、本制度を規則に定めるに当たっては、秘密保護の対象となる物件と対象外物件の区別を文書の趣旨・属性で行うこと、電子データが本制度の対象になることを明確化するなど具体的な制度設計を行うべきである。当連合会としても、規則及び指針の策定に関し、適時に意見を述べていく。


本制度の適用は、独占禁止法調査手続全般ではなく、不当な取引制限に係る行政調査手続に事業者が対応する場合に限定されているが、このような限定は諸外国では例を見ず、依頼者・弁護士間の通信秘密保護の趣旨からすれば不十分である。当連合会は、引き続き本制度の適用対象を独占禁止法全般とするよう早急な見直しを求めていく。


 2019年(令和元年)6月19日

             日本弁護士連合会
           会長 菊地 裕太郎