「消費者契約法の一部を改正する法律」の成立に関する会長声明

 

本日、国会において、「消費者契約法の一部を改正する法律」(以下「改正法」という。)が可決され、成立した。この消費者契約法の改正は、当連合会においても、「内閣府消費者委員会消費者契約法専門調査会『報告書』に対する意見書」(2017年8月24日)などにより、情報通信技術の発達や高齢化社会の進展等で拡大する消費者被害等の予防・救済を図るため、その早期実現を強く求めてきたところであり、本改正法が成立するに至ったことを評価する。


また、本改正法の国会審議の過程において、消費者が抱いている不安や勧誘者に対して恋愛感情等を抱いていることにつけ込んだ勧誘を理由とする取消権に「社会生活上の経験が乏しいこと」との要件が本改正法に加えられていることに関して、高齢者等をその対象として明記する取消権及び霊感商法を対象とする取消権を付加する旨の修正が行われた。これは、当連合会が「『消費者契約法の一部を改正する法律案の骨子』についての会長声明」(2018年2月22日)において指摘した「社会生活上の経験が乏しいこと」という文言が加えられたことに伴う懸念に一定程度対応したものと評価できる。


しかしながら、「社会生活上の経験が乏しいこと」との文言は要件としては残されており、前記会長声明において指摘した懸念が完全に払拭されたとまでは言えないことは遺憾である。この点については、本改正法の衆参附帯決議においても決議されたとおり、被害者の年齢に関係なく、契約の目的となるものや、勧誘の態様との関係で、本要件に該当する場合があることが改めて確認されるべきである。また、国会の修正によって加えられた「判断力が著しく低下している」(改正法第4条第3項第5号)との要件についても、同号が事理弁識能力が低下した高齢者を救済するための規定であることや国会の審議において指摘された本来救済されるべき高齢者等が対象から除外されるおそれがあるとの懸念を踏まえ、いたずらに厳格な解釈がなされるべきでないことが確認されるべきである。


これに加えて、消費者契約法第9条第1号の「平均的な損害の額」に関して消費者の立証責任を軽減するための推定規定の導入、消費者の判断力不足に乗じて契約をさせるつけ込み型勧誘行為に対する一般的な取消権の導入、事業者における約款等の契約条件の事前開示の在り方等、2017年8月の内閣府消費者委員会答申において改正が必要と指摘されていたにもかかわらず、本改正法に盛り込まれなかった項目も少なくないことにも留意されるべきである。本改正法の衆参附帯決議においても決議されたとおり、これらの諸項目につき、引き続きあるべき法改正の内容を検討し、時間を置くことなく速やかに法改正が実現されることを強く求める。


当連合会は、上記のような課題を踏まえ、本改正法の施行において適切な実務運用が確立され、本改正法が消費者被害の実効的救済に真に資するものとなるよう、あらゆる支援を惜しまないことをここに表明するものである。



  2018年(平成30年)6月8日

日本弁護士連合会      

 会長 菊地 裕太郎