高浜原発差止仮処分大津地裁決定に対する会長声明

 

大津地方裁判所(以下「大津地裁」という。)は、2016年3月9日、関西電力株式会社に対し、高浜原子力発電所(以下「高浜原発」という。)3、4号機の原子炉について、運転の差止めを命じる仮処分決定を言い渡した。

高浜原発3、4号機については、2015年4月14日に、福井地方裁判所が運転差止めを命じる仮処分決定を言い渡しているが、今回の決定は、新規制基準に基づく原子力規制委員会の安全審査に合格し、再稼働中の原発の運転を差し止めるものであり、その意義は大きい。

当連合会は、2013年に開催された第56回人権擁護大会において、原発の再稼働を認めず、できる限り速やかに廃止すること等を内容とする決議を採択した。また、2014年に福井地裁が大飯原発3、4号機の運転差止めを命じる判決を言い渡した際、これを評価する会長声明を公表し、同年の第57回人権擁護大会においても、行政庁が前提としない科学的・経験的見解をも司法判断の前提とすること等を求める宣言を採択した。

今回の決定は、「福島第一原子力発電所事故を踏まえ、原子力規制行政に大幅な改変が加えられた後の事案であるから、債務者(関西電力)は、福島第一原子力発電所事故を踏まえ、原子力規制行政がどのように変化し、その結果、本件各原発の設計や運転のための規制が具体的にどのように強化され、債務者がこの要請にどのように応えたかについて、主張及び疎明を尽くすべきである」とし、電力会社に対し、安全性についての主張・疎明責任を負わせたうえで、主張及び疎明がなされていないと断じた。そして、高浜原発3、4号機について、「福島第一原子力発電所事故を踏まえた過酷事故対策についての設計思想や、外部電源に依拠する緊急時の対応方法に関する問題点、耐震性能決定における基準地震動策定に関する問題点について危惧すべき点があり、津波対策や避難計画についても疑問が残る」とし、差止めを認めたもので、高く評価される。

当連合会は、関西電力株式会社に対し、本決定を尊重することを求めるとともに、政府に対して、本決定を受けて従来のエネルギー政策を改め、できる限り速やかに原発を廃止し、再生可能エネルギーを飛躍的に普及させるとともに、これまで原発が立地してきた地域が原発に依存することなく自律的発展ができるよう、必要な支援を行うことを強く求めるものである。

  

 

2016年(平成28年)3月10日

日本弁護士連合会

会長 村 越   進