衆議院選挙定数配分に関する最高裁判所大法廷判決についての会長声明

 

本日、最高裁判所大法廷は、2014年12月14日に施行された第47回衆議院議員総選挙(小選挙区選出議員選挙) に対し、最大で2.129倍の投票価値の較差が生じていたこと等を理由に295の全小選挙区から起こされた選挙無効請求訴訟について、「憲法の投票価値の平等の要求に反する状態にあったものではあるが、憲法上要求される合理的期間内における是正がされなかったとはいえず、これらの規定が憲法14条1項等の憲法の規定に違反するものということはできない」旨の判決を言い渡した。

 

前回の第46回衆議院議員総選挙に係る2013年11月20日の大法廷判決は、投票価値の較差が違憲状態にあるとしつつも、是正のための合理的期間が経過していないとして、選挙を有効としたが、今回の大法廷判決も、上記のとおり、2013年大法廷判決と同様に、是正のための合理的期間が経過していないとして、選挙を有効であると判断した。

 

確かに、今回の選挙は、最大較差が2.425倍から2.129倍に、較差2倍以上の選挙区は72選挙区から13選挙区に減っている。しかし、選挙制度の抜本的見直しを国会に求めた2011年3月23日の大法廷判決から3年8か月が経過していることに鑑みれば、1人別枠方式の構造的な問題点を解決して新しい選挙区割りを作成するに足りる時間があったはずであり、合理的期間は既に経過していたというべきであった。この点、3人の裁判官が合理的期間が経過している旨の反対意見を述べており、例えば、大橋正春裁判官は「平成23年3月23日から本件選挙施行日まで3年8か月が経過しており、これは国会が旧選挙区割りを憲法上の平等価値の原則に適合するものに改正するのには十分な期間である。したがって、本件では憲法上要求される合理的期間を徒過したものといわざるを得ない。」と述べているところである。

 

裁判所には、司法権の担い手としてだけではなく、違憲審査権を行使して、立憲主義、法の支配を貫徹させていく役割が期待されている。特に本件のように、民意を反映すべき民主主義の過程そのものが歪んでいる場合にこれを正すことは、裁判所以外にはなしえないものであり、今回の違憲状態判決は、裁判所が果たすべき職責に照らし不十分なものと言わざるを得ない。

 

当連合会は、裁判所が積極的にその憲法保障の機関としての役割を果たすことを強く希望するとともに、国会に対しては、今回、295の全小選挙区において選挙民が訴えを起こしたこと及び上記反対意見が存することを受けとめ、直ちに根本的な選挙制度の見直しを行い、衆議院議員選挙区画定審議会に選挙区別議員1人当たりの人口数を1対1にできる限り近づけるよう、選挙区割を見直させることを求めるものである。

 

 

2015年(平成27年)11月25日

日本弁護士連合会

会長 村 越   進