商品先物取引についての不招請勧誘禁止撤廃に反対する会長声明

 

本年6月19日、衆議院経済産業委員会において、証券・金融・商品を一括的に取り扱う総合取引所での円滑な運営のための法整備に関する議論の中で、内閣府副大臣は、委員の質問に対し「商品先物取引についても、金融と同様に、不招請勧誘の禁止を解除する方向で推進していきたい」との旨の答弁を行った。

 

この答弁は、総合取引所において商品先物取引業者に対して監督権限を有する金融庁が、総合取引所における商品先物取引に関する法規制について、不招請勧誘禁止を撤廃することを検討していることを示すものであるが、これは、2012年8月に産業構造審議会商品先物取引分科会が取りまとめた報告書の内容に反するものであり、見過ごすことのできないものである。

 

前記分科会における議論の際、当連合会は、2012年4月11日付け「商品先物取引についての不招請勧誘規制の維持を求める意見書」を公表し、①商品先物取引に関する苦情件数は減少しているものの、相当数の悪質かつ深刻な商品先物取引被害がなお存在しており、規制の趣旨に鑑みれば、直ちに、商品先物取引についての不招請勧誘規制を見直す根拠とはならないこと、②商品先物取引に不招請勧誘規制が導入されるに至ったのは、商品先物取引業者が深刻かつ悲惨な被害を生じさせたという、その営業姿勢の問題によるものであり、取引所取引の透明・公正性という観点や取引所取引における証券・金融デリバティブと商品デリバティブとの間の法規制がアンバランスであるという観点をもって、商品先物取引における不招請勧誘規制を緩和すべきではないこと、③不招請勧誘規制の存在が市場の活性化を阻害するものとはいえないこと、④不招請勧誘規制が導入された後も、商品先物取引業者が未だに従来と同様の手法・姿勢で営業を行っていると見られる事例が何件もあったことなどを理由に挙げ、商品先物取引についての不招請勧誘規制の維持を主張した。

 

その後取りまとめられた前記報告書においても「不招請勧誘の禁止の規定は施行後1年半しか経っておらず、これまでの相談・被害件数の減少と不招請勧誘の禁止措置との関係を十分に見極めることは難しいため、引き続き相談・被害の実情を見守りつつできる限りの効果分析を試みていくべきである」、「将来において、不招請勧誘の禁止対象の見直しを検討する前提として、実態として消費者・委託者保護の徹底が定着したと見られ、不招請勧誘の禁止以外の規制措置により再び被害が拡大する可能性が少ないと考えられるなどの状況を見極めることが適当である」とされ、商品先物取引に関する不招請勧誘規制を維持することが確認されたのである。

 

このように、総合取引所の下での商品先物取引の不招請勧誘規制の問題は、前記分科会において、有識者が様々な角度で議論をし、その結果、前記報告書のような取りまとめがなされた経緯があるにもかかわらず、それからわずか1年後の現時点において、何らの検証もなされずに、その規制を撤廃する方向での検討を行うことは適切ではない。

 

当連合会は、消費者保護の観点から、総合取引所の下でも、商品先物取引の不招請勧誘禁止は維持すべきであり、禁止撤廃には強く反対する。
  

2013年(平成25年)7月17日

日本弁護士連合会
会長 山岸 憲司