弁護士の不祥事再発防止に向けての会長談話

 

弁護士は基本的人権の擁護と社会正義の実現をその使命とし(弁護士法1条)、高度な専門知識と職業倫理に対する市民の信頼を基礎としてその職務を遂行しています。



しかしながら、複数の弁護士会で弁護士が依頼者からの預り金等の金員を詐取・横領するなどの不祥事が相次いで明らかになりました。このような事態は、弁護士、弁護士会に対する市民の信頼を根底から揺るがすものであり、極めて遺憾です。当連合会は、このことを真摯に受け止め、本年1月に「弁護士の一連の不祥事に関する理事会決議」を採択して、弁護士の不祥事の根絶のために最善を尽くす決意をし、不祥事発生防止策を検討して直ちに実行に移すことを宣言しました。



本日、定期総会において「預り金等の取扱いに関する規程」を制定したのは、その取組のひとつです。本規程は、預り金専用口座の開設と分別管理を徹底し、本規程違反が疑われる場合の弁護士会の調査や措置等の権限を明確化するもので、これにより、弁護士の預り金の取扱いについてより一層の適正化を図ります。



ただし、不祥事発生防止策はこの規程の制定に尽きるものではありません。苦情を受け付ける弁護士会市民窓口の機能強化等早期に不祥事を探知する方策の検討、懲戒手続に付された時点の公表制度の運用及び懲戒手続の整備等不祥事による被害拡大を防止する方策の検討、さらには、弁護士向けの相談窓口整備に関する検討や研修制度の強化等不祥事の発生自体を防止する方策の検討等、様々な観点から方策を講じる必要があると考えており、現在、全国の弁護士会で諸施策の具体化に向けて、鋭意、取組んでいるところです。



当連合会は、引き続き、不祥事発生防止の取組を一歩一歩着実に進めながら、弁護士、弁護士会に対する市民の信頼回復に努めてまいる所存です。そして、弁護士の使命である基本的人権の擁護と社会正義の実現を図るために全力を尽くしてまいります。

 

 

2013年(平成25年)5月31日

日本弁護士連合会
会長 山岸 憲司