秘密取扱者適格性確認制度に対する説明責任を求めるとともに、秘密保全法制定に反対する会長声明

 

2013年3月15日、衆議院内閣委員会において、委員から防衛省の内部資料として入手したという「身上明細書」を示しつつ、親族等についてまで調査が行われているのではないか等との質問があった。これに対して、防衛省高官は、「身上明細書」の真正性及び秘密取扱者適格性確認制度の運用について、自衛隊の秘密保全に影響を及ぼすおそれがある等として回答をしなかった。


同日の報道によれば、上記身上明細書は、19項目にわたり個人情報を記入するもので、自衛隊員のみならずその親族・友人等の個人情報、所属宗教団体や趣味のクラブ等の所属団体等センシティブな個人情報をも記載させるものとなっている。


秘密取扱者適格性確認制度は、秘密を取り扱う者等の個人情報を調査し、よって秘密を取り扱う者としての適格性を評価し判断しようとする制度であり、政府が法案提出を予定している秘密保全法制における適性評価制度を事実上、先取りしたものである。


政府において、国民の理解と支持の下で秘密保全法制を制定する考えがあるのであれば、上記の衆議院内閣委員会における質問において相当程度具体的な回答がなされてしかるべきである。しかるに、一切回答がなかったことにより、現行の制度が不明であるだけでなく、秘密保全法制によってどのような適性評価制度を想定されているのかも不明のままとなっている。


適性評価制度については、当連合会において、情報管理の手法として有効性に疑問があるのみならず、市民のプライバシー等の人権侵害のおそれがあるという問題点を度々指摘してきたところであり、多くの団体や有識者においても同様に問題点を指摘してきている。当連合会の2012年4月27日付け「秘密取扱者適格性確認制度に関する会長声明」では、本人の同意を得ずに実施されている適格性の確認を直ちに中止するとともに、不適格と判断された者の人数、調査事項、その方法及び範囲等、その具体的な運用を明らかにすることを求めているところである。


政府は、そのような適性評価制度を、防衛省における運用実態さえ全く明らかにしないまま、秘密保全法制に組み込んで制定しようとしているのである。政府が現行制度の運用状況等について説明責任を果たさない実情に鑑みれば、秘密保全法制の立法過程及び実施過程においても、これまでと同様、国民に対して説明責任が果たされないであろうことが十分に予想されるのであり、秘密保全法制の制定が許されないことは、より一層明らかである。 


よって、当連合会は、政府において秘密保全法案を国会上程しないことを求めると同時に、改めて、秘密取扱者適格性確認制度において、本人の同意を得ずに実施されている適格性の確認を直ちに中止するとともに、その具体的な運用を明らかにすることを求める。

 

 

 

2013年(平成25年)4月17日

日本弁護士連合会

会長 山岸 憲司