国連人権理事会本会議における、日本に対する第2回普遍的定期的審査に関する政府の対応についての日弁連コメント

 
2013年(平成25年)3月22日

日本弁護士連合会

 

 

 

 

本年3月14日、国連人権理事会本会議において、日本政府は、昨年11月2日の普遍的定期的審査(以下「UPR」という。)作業部会報告書に示された各国政府からの174個の勧告について対応を明らかにした。


日本政府は、各種個人通報制度に関する選択議定書の批准及び当該条項の受託宣言、パリ原則に基づく国内人権機関の設置、女性に対する差別の撤廃など大多数の勧告について、フォローアップすることを受諾した。


当連合会は、日本政府がフォローアップを受諾した勧告について、これを実現するために必要となる市民社会との対話を企画し、そのフォローアップ過程に積極的に参加する用意がある。とりわけ、2008年に実施された第1回目のUPRにおいて、日本政府が検討を約束しながら、その制度化に至らなかった個人通報制度及び国内人権機関について、何故に実現できなかったのか、その原因を解明し、妨げとなる障壁を乗り越えるべくあらゆる段階の協力を惜しまない。


日本政府がフォローアップを拒否した勧告は、死刑制度の停止または廃止、代用監獄制度の見直し、弁護人の取調べへの立会い、従軍慰安婦問題について国際社会からの勧告に真摯に対応すること等である。


これらの勧告は、前回のUPRはもとより、各種条約機関からも繰り返し勧告がなされながら未解決または未着手の人権問題に対して、日本政府の取組みを促すものである。当連合会は、作業部会に先立つ情報提供において指摘したように、日本政府が、これらの勧告を受け入れることを強く期待しているところであり、日本政府がフォローアップそれ自体を拒否したことは誠に遺憾であり、残念である。


とりわけ、UPR作業部会において、前回同様、多数の国が日本における死刑の執行の継続に対する懸念を表明し、日本政府に対し死刑の停止を勧告したことは、国際社会の共通の意思の表明と言える。当連合会は、日本政府が世論の存在を金科玉条としつつ、死刑制度の運命は各国が独自に判断するべきと強弁することは、加盟国同士の建設的な対話を目的とするUPR制度の趣旨に反すると危惧する。


また、代用監獄制度と弁護人の取調べへの立会いに関して、日本政府の回答は、代用監獄の利便性は被疑者の家族や弁護人の利益にも供していること、時間的な制約の中で証拠収集するためには被疑者取調べが真実発見に資するから、弁護人の立会いは慎重な熟慮を要することを主たる理由とするものである。このような日本政府の対応は、被疑者取調べにおける自白の強要と冤罪の危険性を放置することにつながるもので、国際人権法の基準さらには建設的な対話というUPRの制度趣旨の観点から極めて問題である。


もとより、これらの勧告の中には、ただちに受け入れることが困難なものもあることは理解できる。しかし、受け入れることが困難な勧告についても、その原因を探り、類似の問題を克服した他国の経験に学ぶ、国連人権高等弁務官事務所その他の機関から専門的な支援を受ける等の勧告の実現に向けた対話と協議の過程を構築していくことは、UPRを受ける全ての国々にとっての今後の課題である。


当連合会は、改めて日本政府に対し、今回の審査において提起されたすべての人権問題について、その現状に関する情報を更に広く公開することを要請するとともに、各人権問題の解決に向けて、必要な場合には広く国民的議論を尽くし、解決に向けての具体的な一歩を踏み出すよう強く要請するものである。


UPRは、途切れずに続く対話の過程の一部分であり、当連合会は、今回のUPRを通じた対話を今後とも継続し、本年予定されている社会権規約の第3回政府報告書審査及び拷問等禁止条約の第2回政府報告書審査、さらには、来年予定されている自由権規約の第6回政府報告書審査などの機会も生かしつつ、日本における人権状況の確実な改善につなげていく所存である。