「共通番号」法案再提出に関する会長声明

 

去る2013年3月1日、政府は、いわゆる「共通番号」制を導入する共通番号法(旧略称「マイナンバー法」、正式名称「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」)関連法案を閣議決定し、国会に提出した。

 

当連合会は、前民主党政権が提出し、衆議院解散により廃案となった旧「マイナンバー法」案について、官と民における、国民と外国人住民の様々な個人データを、生涯不変の1つの背番号(マイナンバー)で管理し、情報提供ネットワークシステムを通じて確実に名寄せ・統合して利用することを可能にする制度を創設しようとするものであり、最も枢要な人権の一つであるプライバシー権を危殆に瀕せしむるなど、様々な問題が発生するとして、強く反対し、廃案を求めてきた。

 

新法案は、それらの問題を更に深刻にするものである。

 

第一に、新法案は、「費用対効果」を重視して、旧法案よりも、マイナンバーと情報提供ネットワークシステムの利用を官・民両分野でより拡大することを目指している。これは、自己情報コントロール権の侵害や、諸外国において深刻な社会問題と化している大量の情報漏洩・なりすましなどのプライバシー侵害のリスクを、更に高めるものである。

 

第二に、前民主党政権は、マイナンバーを「納税者番号」として活用することにより所得の正確な把握を図り、もって「給付付き税額控除」制度など、真に手を差し伸べるべき人に対する給付を実現することができるなどという理由でその導入を図ったところであるが、今や共通番号制度を導入しても「所得の正確な把握」ができないこと及び社会保障の充実や税の公平の実現は同制度の導入とは別の要因が大きいことが明らかとなっている。

 

しかも、現自民党・公明党政権は、「給付付き税額控除」よりも「軽減税率」による低所得者対策を取ることを方針としている。

 

したがって、そもそも同法案再提出の理由が不明確である。

 

このように、プライバシー侵害など諸々の重大なリスクがより高度化した上、その提出理由も不明確な中での拙速な法案提出は、将来に重大な禍根を残すことになる。よって、当連合会は、同法案に強く反対し、廃案を求めるものである。

 

2013年(平成25年)3月7日

日本弁護士連合会
会長 山岸 憲司