政府による大飯原子力発電所3号機及び4号機の再稼働決定に反対する会長声明

本日6月16日、政府は、大飯原子力発電所3号機及び4号機の再稼働を決定した。



当連合会は、5月25日に定期総会を開催し、「東日本大震災被災者及び福島第一原子力発電所事故被害者に対する支援活動を継続し、確実な安全性が確保されない限り停止中の原子力発電所の再稼働を許さない宣言」を採択した。その中において、「福島第一原子力発電所事故の原因がいまだ明らかになっておらず、事故原因を踏まえた安全対策も確立できていないにもかかわらず、政府は対症療法的な津波対策・電源対策を講じただけで、福島第一原子力発電所事故の教訓を忘れ、電力不足の危機感を煽り、停止中の原子力発電所の再稼働を目指している。深刻な原子力発電所事故被害の再発を未然に防止するため、現在停止中の原子力発電所については、福島第一原子力発電所事故の原因を解明し、その事故原因を踏まえた安全基準について、国民的議論を尽くし、それによる適正な審査によって確実な安全性が確保されない限り、再稼働しないことを求める。」旨宣言した。



また、本年4月24日付けの「大飯原子力発電所の運転再開に反対する会長声明」において、大飯原子力発電所3号機及び4号機の再稼働をめぐる政府の動向についても、その問題点を指摘して再稼働に反対であることを表明している。



福島第一原子力発電所事故は、広範囲の地域が放射能に汚染され、福島県民十数万人が避難生活を余儀なくされ、今後も予断を許さない状態が長期間続くことは確実であるなど、原発の安全性が確保されないならば社会が破壊されることを明らかにしたものであり、二度とこのような事故が起きてはならない。そのためには、上記宣言のとおり、事故原因を解明し、その事故原因を踏まえた安全基準について、国民的議論を尽くし、それによる適正な審査によって確実な安全性が確保されない限り、原発の再稼働を容認してはならないのである。これらの点がいまだ克服されていない現状において、国民の生命と安全を第一義に考えるべき責務を負う政府が、このような決定を下したことは、到底国民の理解を得られるものではないといわざるを得ない。



したがって、当連合会は、今回の決定について適切な科学的根拠が示されていないこと、正に現在、国会において新たな規制組織に関する法案が審議中であること、さらに、二度とこのような事故を起こしてはならないという多くの市民の切なる思いをも踏みにじるものであることから、政府に対し、大飯原子力発電所3号機及び4号機を再稼働させるとの決定を撤回するよう強く求めるものである。

 

2012年(平成24年)6月16日

日本弁護士連合会
会長  山岸 憲司