政治資金規正法の抜本的改正を求める

金丸信衆議院議員が東京佐川急便から5億円にのぼる金銭を受領したことにより政治資金規正法違反に問われた。


社会正義の観点から見てまことに遺憾というほかなく、これがため、真相の徹底的究明と政治倫理の回復を求める国民世論が沸騰している。


本件について、東京地検が本人の出頭を得ることなく、上申書の提出によって略式命令を請求し、東京簡裁においても公判手続に付することなく命令を発したこと、さらには公判請求をされた前新潟県知事に対する処分との均衡上の問題等が一斉に指摘されている。


この様な事態は、違法な政治資金収受が上限わずか20万円の罰金刑にしか該当せず、また配布を受けた議員についてなんら刑罰規定が存在しない等という同法の構造的な欠陥に起因するものである。


当連合会は、法律制度の改善に努力すべき義務(弁護士法1条2項)を負う弁護士の団体として、公民権停止、違法に収受した金員の没収等をはじめとする同法の抜本的改正を強く求めるものである。


1992年(平成4年)10月9日


日本弁護士連合会
会長 阿部三郎