靖国神社の閣僚公式参拝について

日本弁護士連合会は、昭和60年7月「靖国神社国営化並びに国務大臣公式参拝問題に関する見解」を明らかにし、靖国神社への公式参拝は日本国憲法に違反することを指摘した。


しかし、翌8月の15日に、内閣総理大臣および閣僚のほとんどが、内外の批判があるのに、あえて戦後初めて靖国神社を公式参拝した。引続く批判にもかかわらず、今年も8月15日に公式参拝を実施しようとする意向が一部に見られるのは極めて遺憾である。


靖国神社は、宗教法人であって、宗教上の施設をもち、慰霊のための儀式行事等をおこなっている。したがって、国民として個人の立場で戦没者の遺徳をしのび平和を祈念することは自由であるが、内閣総理大臣その他国務大臣として憲法擁護義務のある者が、信教の自由の保障の趣旨から、国の宗教活動を禁止した日本国憲法20条3項に違反すると指摘されている参拝をすることは厳に慎むべきである。


1986年(昭和61年)8月12日


日本弁護士連合会
会長 北山六郎