徳島刑務所における熱中症対策に関する人権救済申立事件(勧告)
徳島刑務所宛て勧告
2024年7月30日
- 徳島刑務所における熱中症対策に関する人権救済申立事件(勧告) (PDFファイル;727KB)
徳島刑務所においては、工場就業者収容者棟の居室では廊下にエアコンが備えられた上で扇風機が整備されており、あるいは扇風機が整備されていない居室にもサーキュレーターが貸与されているが、昼夜間単独室にはエアコンが設置されていない上に、扇風機の整備もサーキュレーターの貸与もなく、うちわしか貸与されていないのは、受刑者を就業の有無で差別するものであるだけでなく、昼夜間単独室で処遇を受ける者の健康を害しかねない人権侵害行為であるとして、全ての被収容者の健康に生きるための権利が保障されるようにするため、抜本的な熱中症予防対策として、徳島刑務所に対して以下のとおり勧告した事例。
1 被収容者の収容形態(共同室、夜間単独室及び昼夜間単独室)にかかわらず、被収容者の生活、活動が予定されている全ての居室棟にエアコンを整備した上で、全ての居室に壁掛扇風機を設置するかサーキュレーターを貸与する対応をとることにより、全ての時間帯において全ての居室内で熱中症指数(以下「WBGT」という。)28℃未満の状態が保たれるようにすること。そのために、エアコン等の機器の使用に当たっては、その時々の気温やWBGTを随時勘案しつつ稼働・運用を行うことにより、全ての居室について適切な温度管理を行うこと。
2 熱中症予防対策の基礎となるWBGTの測定については、居室の構造、位置、広さ、向き等の条件によりWBGTも異なってくることが見込まれることから、貴所内の一点のみで観測するのではなく、条件の異なる複数の居室においてWBGTの測定を行い、最も数値の高い居室に合わせた稼働・運用を行うこと。