未決勾留期間中の運転免許更新に関する人権救済申立事件(要望)

法務大臣宛て要望

2021年9月22日



申立人は、さいたま拘置支所にて未決勾留中の者であり、勾留期間の長期化により、未決勾留期間中に、運転免許の有効期限が過ぎて失効し、さらに、運転免許失効後においても再取得のための簡易な試験を受験できる期間(3年)が経過してしまうおそれがあることから、免許の更新を求めたが、断られた。

同支所では、2004年11月16日付け法務省矯保第5794号通知(「矯正施設における特定失効者に対する運転免許試験の実施について(通知)」、以下「本件通知」という。)に基づき、受刑者については上記3年の期間内に、施設内において技能試験等が免除された運転免許試験(以下「施設内免許再取得試験」という。)を年1回実施しているところ、未決勾留中の者を含む未決拘禁者については、本件通知がこれを対象としていないことなどから、施設内免許再取得試験を実施していない。そのため、運転免許失効後3年が経過した未決拘禁者は、将来運転免許を再取得するためには全ての試験を再受験しなければならなくなる。

そこで、未決勾留中の者のうち、少なくとも運転免許が失効して2年が経過した者については、一般市民の自由が原則保障される者として、免許失効を防ぐことができる利益を保護すべく、法務省に対して施設内免許取得再試験と同様の試験を受験させることを要望した事例。



措置後照会に対する回答

<法務省矯正局成人矯正課長名回答・2022年4月13日>


2022年3月22日付け日弁連人1第1272号および2022年3月22日付け日弁連人1第1273号に係る回答


未決拘禁者は、罪証隠滅防止の観点から、受刑者と比較して、同試験を受験させる機会を与えることが刑事施設の管理運営上困難であるなどの理由により、特段の対処はしていない。