車椅子使用者の航空機単独搭乗拒否に関する人権救済申立事件(要望)

相手方会社宛て要望

2019年10月29日

 

 

申立人は脳性麻痺の身体障害があり、移動の際に電動車椅子を使用する人であるが、2014年6月27日に相手方会社の福岡発バンコク行きの往路便及びバンコク発福岡行きの復路便を同時に予約し、同年7月23日電動車椅子の航空機貨物室搭載承認を得た上、往路便(同年8月25日)に単独搭乗し、復路便(同年9月10日)に単独搭乗しようとしたところ、相手方会社は単独でトイレに行くための条件を満たさないという理由で申立人の搭乗を拒否し、申立人はバンコクの空港に取り残された。 


相手方会社の客室乗務員は申立人が相手方会社の定める単独搭乗条件を満たさないと判断し、機長が単独搭乗を拒否するとの決断をしたが、この客室乗務員の判断及び機長の決断は申立人の身体状況等について不正確な理解・情報に基づいてなされたものであり、往路便に単独搭乗できたこと等本件の諸事情を客観的に判断すれば、申立人は単独でトイレに行くことができたことから、相手方会社が申立人の単独搭乗を拒否したことは輸送の安全確保等の目的のために必要かつ合理的な範囲の制約であるとは言えず、本件搭乗拒否は、申立人の人権を侵害するものと言うべきであるとして相手方会社に以下のとおり要望した事例。


障害のある人の移動の自由及び平等権等の重要性を確認し、障害者に対する合理的配慮を求める障害者の権利に関する条約の趣旨を踏まえて、

(1) あらかじめ相手方会社の定める単独搭乗条件に該当するかどうかを合理的に判定するためのマニュアルを作成すること(相手方会社運送約款及びBグループ(相手方会社が所属する)のウェブサイトにおける単独搭乗条件や歩行困難者に対する介助を行う事項に関する記載に合理的配慮を行う旨の追記をすることを含む。)。

(2) 地上職員、客室乗務員及び機長、その他の全従業員に対し、障害のある人の移動の自由及び平等権等の重要性並びに障害者の権利に関する条約の趣旨の理解を徹底させるとともに、前項のマニュアルを実施するための研修を行うこと。