拉致被害者に関する人権救済申立事件(要望)

2013年9月3日内閣総理大臣兼拉致問題対策本部長/拉致問題担当大臣/同年9月9日警察庁長官宛て要望

2013年9月3日


 

朝鮮民主主義人民共和国による拉致の疑いがある被害者らに関して、内閣総理大臣兼拉致問題対策本部長及び拉致問題担当大臣に対しては、情報提供を求めるなど真相究明に努め、本件8名の所在の確認ができたときは、政府間交渉の課題として帰国を強く求め、一日も早く家族全員が一堂に会することができるように努力することなどの措置をとるよう要望し、警察庁に対しては、関係都道府県警察に対し、至急捜査を遂げ、その真相を明らかにするよう、指揮監督することを要望した事例。

 

 

執行後照会に対する回答

内閣総理大臣兼拉致問題対策本部長及び拉致問題担当大臣

<内閣官房拉致問題対策本部事務局 総務・拉致被害者等支援室長回答・2014年5月23日>


1 政府としては、これまで拉致被害者と認定している17名以外にも北朝鮮による拉致の可能性を排除できない方が存在しているとの認識の下、拉致被害者としての認定の有無にかかわらず、全ての拉致被害者の安全確保及び即時帰国のために全力を尽くしています。また、拉致に関する真相究明、拉致実行犯の引渡しを追及しています。

 

このため、2013年(平成25年)9月3日日弁連総第55号にて貴会から要望のあった8名を含めた拉致の可能性を排除できない事案について、関係機関が緊密に連携を図りながら、引き続き捜査・調査を推進しています。

 

このほか、2014年(平成26年)3月に開催された日朝政府間協議では、双方が関心を有する幅広い諸懸案について、真摯かつ率直な議論を行い、日本側からは拉致問題について日本側の基本的考え方について問題提起を行ったほか、拉致の疑いが排除できない方々の件についても再度提起しました。

 

なお、個別具体的な事案に係る捜査・調査に関する事項については、捜査・調査を含めた今後の政府の取組に与え得る影響に鑑み、回答を差し控えさせていただきたいと考えます。


2 政府は、拉致被害者家族等が2013年(平成25年)9月3日以降に国連等の国際機関に対し人権救済を申し立てた事例については承知していません。

 

しかしながら、2012年(平成24年)7月に、貴会からの要望のあった8名に含まれている藤田進さんの御家族・藤田隆司さんが、ジュネーブで開催された第97回国連強制的失踪作業部会の会合に出席した際には、政府として、藤田さんによる国際機関、政府機関、NGOへの訪問調整、通訳を始めとする活動支援、拉致問題対策本部事務局職員の同行等の支援を行いました。

 

なお、北朝鮮における人権に関する国連調査委員会(COI)が本年2月17日に最終報告書を公表しました。報告書では日本人拉致問題を含む国際的拉致が人道に対する罪に該当するとの判断がなされ、北朝鮮に対し、拉致被害者に関する全ての情報提供と被害者本人及びその子を帰国させるよう勧告がなされています。また、3月28日には、国連人権理事会において、我が国とEUの共同提出により、同報告書の勧告実施を促す北朝鮮人権状況決議が賛成多数で採択されました。政府としては、本件報告書及びこれを反映した決議の内容を踏まえ、国際社会とも連携し、北朝鮮に対し、拉致問題の早期解決に向けた具体的な行動を取るよう、引き続き強く求めていく考えです。



警察庁

<警備局外事情報部外事課長名回答・2014年5月23日>


2013年(平成25年)9月9日付け日弁連総第55号にて貴会から要望のあった8名を含めた北朝鮮による拉致の可能性を排除できない事案の真相解明に向け、警察庁に設置した特別指導班が関係都道府県警察を巡回して、捜査・調査の担当官への具体的な指導や当該事案の現場の実地調査等を行うことにより、関係都道府県警察に対する指導を強化しています。

 

また、将来、北朝鮮から拉致被害者に関連する資料が出てきた場合に、本人確認に役立ち得るなどの観点から、個別の事案ごとに捜査上の必要性や家族の意向を勘案しつつ、DNA型鑑定資料の採取を実施しています。

 

さらに、広く国民からの情報提供を求めるため、家族の同意が得られたものについては、事案の概要等を都道府県警察のウェブサイトに掲載しているほか、警察庁のウェブサイトにも家族から同意を得られた行方不明者の一覧表を掲載するとともに、各都道府県警察のウェブサイトに掲載されている情報にアクセスできるようリンクさせています。

 

なお、個別具体的な内容につきましては、捜査に関わる事柄であることから、お答えを差し控えさせていただきますが、警察といたしましては、北朝鮮による拉致の可能性を排除できない事案の真相解明に向け、関係機関と緊密な連携を図りつつ、徹底した捜査・調査を推進しています。