受刑者移送条約に関する人権救済申立事件(勧告)

前橋刑務所長宛勧告

2010年2月15日


前橋刑務所は、大韓民国が受刑者移送条約の締約国となった2005年11月1日以降、2007年11月20日までの間、同国籍の受刑者に対して同条約の内容を告知する義務があるところ、その履行を怠った。これは、同国籍被収容者の告知を受ける権利の侵害にあたるとし、今後、同様の権利侵害が行われることを厳に防止するため、前橋刑務所は、受刑者移送条約第4条第1項及び国際受刑者移送法第29条の適用を受けるすべての者に対し、それらの内容を告知すべきであり、特に、同条約の新規締約国の国民等に対して条約の内容の告知を怠ることなく、その告知を確実に行うよう勧告した事例。


執行後照会に対する回答

前橋刑務所長

<前橋刑務所長名回答・2011年4月28日>



当所では、当所の措置が人権侵害に当たるとの勧告を真摯に受け止め、以後の再発防止を期するため、平成22年2月18日付け所長指示を発出し、告知は、庶務課名籍係が国際受刑者移送法に基づく対象者に対し、国際受刑者移送法施行規則により定められた告知書により、裁判確定後又は刑執行のため収監後、速やかに行い、さらに告知の疎漏を防ぐため、告知後は告知簿に被告知者から署名指印を徴するとともに被収容者身分帳の表紙部分に「条約内容告知済」と記載することとし、同日より実施している。



また、上記以外の場合(新たに条約を締約した場合など)であっても、国際受刑者移送法に基づく対象者に該当することが判明した時点で前記同様に速やかに告知を行うこととしている。