難民に関する決議

基本的人権の尊重は、現代国際社会における普遍的原理であり、何人も人種、宗教、国籍、特定の社会的集団への所属、または政治的思想を理由として迫害されてはならない。


にもかかわらずこのような迫害の例は、今日なお跡を絶たない。かくして世界人権宣言第14条は「何人も、迫害からの保護を他国において求め、かつこれを享有する権利を有する」旨規定し、これをうけて「難民の地位に関する条約」及び「難民の地位に関する議定書」が締結され、その加入国は現在70ヶ国に達しようとし、今や政治亡命者(難民)に対する国際的な保護は、まさに世界の潮流である。


しかるに政府は、右条約及び議定書の趣旨には賛成であるとしながら、これらへの加入を推進しようとせず、政治亡命者の保護にはきわめて消極的態度に終始してきた。


その結果、基本的人権尊重を原理とする日本国憲法のもとで、わが国が保護すべき政治亡命者でありながら、出入国管理令等によって国外退去を強制される例を多発させてきている。


このような現状は人道上許されないばかりでなく、現行憲法の原理に反するものとして黙視できない。


よって政府及び国会は、すみやかに右条約・同議定書に加入するとともに、これに伴う国内法を制定し、もって政治亡命者の保護に万全を期すべきである。


右決議する。


1977年(昭和52年)10月8日
第20回於大阪市