少年法改正に関する決議

法務省は、法制審議会の本年6月29日の答申にもとづき、少年法改正の法案作成作業を開始し、国会上程を目指している。


われわれは、かねて機会あるごとに法務省の企図する改正に反対の決議をなし、最近では答申当日会長声明をもって重ねて答申に強く抗議する意思を表明し、今や国民各層からの批判の声も急速に拡がりつつある。


われわれが改正に強く反対する主な理由は、答申の内容が、憲法の理念にもとづき少年の教育・福祉の法として制定された現行少年法の基本的構造を根底から変革し、捜査訴追機関の関与を強め、少年の保護を受ける権利を不当におびやかすものであり、また答申原案作成の審議手続きのうえにおいても委員の構成が適切を欠き、しかも実質審議を十分に尽さなかった点にある。


もとより、少年の健全な育成と保護を理念とする現行少年法はその基本においてこれを堅持すべきであって、いまこの時期に、この理念に反する検察官関与、年長少年事件の特別扱い、全件送致主義の否定など、国民の人権と民主主義の基盤を危うくするおそれのある改正を急ぐ必要はいささかもない。むしろこの際、少年の健全な育成と保護を充実させるための方策を慎重に検討することこそ緊要である。


よってわれわれはここに、今回の改正作業に強く抗議し、法務省に対し、すでに開始している改正作業を直ちに中止することを強く求めるものである。


右決議する。


1977年(昭和52年)10月8日
第20回於大阪市