刑法全面「改正」に関する決議

刑法全面に「改正」に関する法制審議会答申は、処罰の拡大・強化により、強権的な国家秩序の維持を重視し、人権侵害の大きな危険性を招来するものとして、かねてから、国民各層の厳しい批判をうけてきた。


しかるに、政府案作成のために発表されたいわゆる法務省「中間報告」は、国民的批判によって部分的修正を加えているが、右答申の基調を貫きつつ、あくまでもその実現を企図している。国民的批判が大きく発展しない限り、これが最終的な政府案となる可能性が強い。


日本国憲法のもとで、真に国民のための刑法改正をめざすならば、何よりも民主主義の根幹を崩壊させるおそれのある右答申をこそ白紙に還元すべきである。


よって、右答申及び「中間報告」に基づく刑法全面「改正」の政府案作成作業は、絶対に許されないものであり、政府は、即時、これを止めるべきである。


右決議する。


1976年(昭和51年)10月9日
第19回於仙台市