警察機動隊等の過剰警備に関する件(第二決議)

近時、警察機動隊等の過剰警備により、国民の基本的人権が公然と侵されつつあるのは極めて遺憾である。


警察権の行使は、法令による権限に限定されるべきであって、その濫用は許されない。


警察当局はその権限行使に当り、法令を厳守し、いやしくも国民の基本的人権を侵犯することのないよう万全を記すべきである。司法当局はこの種の過剰警備から生ずる人権侵犯事件に対し、厳正な態度を以て対処するよう要望する。


右決議する。


1970年(昭和45年)9月22日
第13回人権擁護大会、於新潟市


理由

警察権の行使は、社会公共の安全・秩序の維持など責務遂行のためになされるものである。従ってつねに人権侵害の危険性をはらんでいる。そこで警察法も、特にその目的、権限を定め濫用を戒めている。 しかるに近時の街頭における過激な団体行動に対する警察権行使の実態をみるに、一般の通行人に対してまで任意の承諾に名をかりて軽々に所持品等の検査を行いまた法令の要件を具備しない不法な検問を行ったり、更に防護楯・ガス弾などを不必要、不相当と思料される方法をもって使用して人を失明その他負傷せしめたり、或は取材記者の報道の自由を著しく阻害するなど、基本的人権を侵害する事例が頻発している。そしてこれは個別的・偶発的なものではなくして、警察当局の全体の方針から必然的なものと解しうる場合が少なくない。


われわれは従来犯罪の捜査、被疑者の逮捕その他に関して、警察権行使の限界を厳守するよう、しばしば強く警告してきたが、重ねて警察当局をはじめとして、職務執行に当る個々の警察官は民主警察の理念に基づいて、その権限および職務執行に関する法令を厳格に解釈し、その運用に当っては警察権の限界を厳守して、いやしくも憲法の保障する個人の基本的人権を侵害することのないよう強く警告する。


注(1) 提案会
第一東京弁護士会、第二東京弁護士会


注(2) 要望先
国家公安委員会委員長、警察庁長官、警視総監、各府県警察本部長、各地警察局長